INTERVIEW
家族から受け継いだ味が紡ぐ人の輪
宿泊業、飲食サービス業
ここにわカフェ
店長

大河 直子さん

やいづ応援団
40代
静岡県焼津市
= Profile =
1976年生まれ。焼津市出身。県内の短大で学び、実家の喫茶店を手伝ったり、就職したり、子育てをしたりと忙しい日々を過ごしてきた。知人の紹介でサンライフ焼津のカフェがリニューアルされる話を聞き、店長になることを目指す。2016年1月より「ここにわカフェ」の店長として、厨房やフロアに立つこととなった。

みんなが集まるコミュニティをつくりたい

 私の両親は地元・焼津で喫茶店を経営していました。焼津市役所近くにあった、ミートソースがおいしいと話題の人気喫茶店でした。でも、私が社会人2年目の頃、父が亡くなり、母も病に倒れたことで、セビラはみなさんに惜しまれつつも閉店することになったのです。
 当時の私は就職に結婚に子育てと、慌ただしい日々で、閉店してしまったセビラのことは頭にありつつも、何もできずにいました。内心では、両親の大変さをずっと間近で見てきたので、「二度と喫茶店なんてやるもんか」と思っていました。

 そんなときに、喫茶店をオープンさせられるかもしれない、そんな知らせが届いたんです。「サンライフ焼津(焼津市勤労会館)内の食堂がリニューアルするんだって」と、知り合いに声をかけられて、「まずは挑戦してみよう!」「喫茶店の店長を目指そう」と思い立ちました。
 
 思い立ったのは「サンライフ焼津だったから」かもしれません。焼津駅から徒歩10分ほどにあるサンライフ焼津は、天然黒潮温泉とジムがあって、定期的にカルチャースクールも開催されています。つまり、多世代が集まる場所なんです。そこに手間のかかった手作りのお食事やスイーツが提供されるカフェがあったら、みんながもっと集まる場所になると思ったんです。

親の味を受け継ぎながら、オリジナルへ

 両親の喫茶店を手伝っていたときに、セビラ秘伝のミートソースの味は父から教わっていました。ミートソースのほかにも、亡き父にならい、ハンバーグ、サンドイッチ、あんみつ、ケーキなど、子どもから年配者の方まで幅広く味わえるメニューをそろえています。ちなみに、あんこの味はおばあちゃんから受け継いだ味です。きんつばやさんだったんですよ。

 家族から受け継いだ味を提供するカフェの名前は「ここにわカフェ」。「ここに和、輪ができますように」という想いを込めています。お客様からも「居心地がよくてつい長居してしまう」という声をいただくことがありますね。

 私の根本にある思いというのは「人が集まる場所をつくりたい」ということなんです。父が早くに亡くなってしまったことや離婚……、実は一度体調を崩してしまったときがありまして、そのとき私を救ってくれたのが「人」でした。だからこそ、自分の力でできることがあるのならやりたい、お客様が悩みを打ち明けたいときに打ち明けられたり、元気や勇気を与えられたりするような人でありたい、そんな思いで日々過ごしています。お客様や自分と関わるひとたちのライフスタイル、キャリアを応援できるような仕事をしていきたいです。

人の気持ちをほぐしていく場所

 「大河さんはずっと仕事しているんじゃないの?」と聞かれるんですが、そんなことありません。温泉が好きなので、毎朝、焼津駅近くにある「エキチカ温泉」に行きますね。身体も温まりますし、温泉だけでなく、本を読んだり、パソコンを持ち込めるスペースもあったり、いろんなことができますよ。

 振り返ってみれば、温泉も、ここにわカフェが目指すことと同じで、「焼津で暮らす人たちにとって大事な拠点」です。私は生まれも育ちも焼津ですから、40年くらい前の活気づいていた焼津を知っています。商売が本当に繁盛していて、魚市場にいけば漁師さんがたくさん歩いている。今は、海や港、高草山、花沢の里といった、自然や風景はかわりませんが、「商売」という側面では変わってしまった部分もあるんじゃないかな?だからこそ、焼津に住んでいる人をつなぎとめる、そんな拠点をつくりたいんですよね。

 子どもも手を離れて、自分の楽しさというものを突き詰めていける時間があります。新しく始めたリンパケアも、「大人になって初めて大金を払ってでも勉強したい」と思えた分野です。楽しさって自信につながるんですよね。そういう風に訪れた人が感じられる拠点を食・リンパケア・コミュニティ、いろんな側面から焼津に生み出していきたいです。

大河 直子さんがオススメする焼津のイイトコ

「花沢の里」
大河さんおすすめは、奈良時代から平安時代に栄えたという街道沿いに長屋門造りの趣のある家が立ち並ぶ「花沢の里」。観光地化されておらず、静かで落ち着くことのできる場所に、「あそこは、いいところだよ」と一言。JR焼津駅から車で約10分。